脳汁生活。

脳汁生活

無重力アパシーなる日々。

雨に濡れれば、嬉しいのか悲しいのかなんて分からない。【#詩にしてみた】

f:id:usagoke:20170718205325j:image

雨に濡れれば、嬉しいのか悲しいのかなんて分からない。

予測できなかった柔らかい雨はどこまでも続くようだった。

「ザーザーとか、ぽつぽつとかじゃなくて、サーサーって降る感じの雨がすごい好きなんだよね」

あなたはそう言って、そっと私の顔を覗いた。

そんなあなたの顔を私はよく知っていた。あなたが私に同意を求める時。

あなたは必ず、目を細めにっこりと優しく微笑む。

「でしょ?」

「うん!」

そう答えると、まるで子犬がしっぽを振るように、嬉しそうに顔を輝かせる。

 

顔を出すのを待つばかりの、草花を支える地に雨がゆったりと溶け込んでゆく。

 

私は雨が嫌いだ。

 

幼い頃から、(長靴を履いていたとしても!)水たまりでぱちゃぱちゃと遊ぶみんなを遠くから見ていた。

濡れるし、髪に湿気がまとわりつくし、何より薄暗い空が嫌いだった。

せめて、空くらいは明るくいて欲しかった。

思春期くらいからその思いはずっとずっと強くなっていった。

 

雨が好きな人というのも、時にはいるものだ。

 

特に、京の都のようなところで、縁側に座り、しとしとと降る雨と抹茶を楽しむような、異邦の風情は、申し訳ないけれど、下世話なように感じた。 

 

今でもその気持ちはそんなに変わらない。

 

雨が好きな人は時にはいるものだ。

 

「雨ってどうして降ると思う?」

あなたは時々、不思議なことを聞いてきた。

分からなかったけれど、嬉しかった。

「難しいことは分からないんだけどね、たぶん、泣きたい人がいて、その涙が雨になってるのかなぁって」

 いつもあなたは恥ずかしそうにそう言った。

それでも雨が好きなの?と私はつぶやく。

「誰かの心が軽くなってるってことだからね」

あなたは笑った。

 

あなたは嘘つきだった。

 

雨が好きな人も時にはいるものだ。

 

みんな、心に陰鬱なものを抱えているようだった。

あなたは晴れた日に笑うことはなかった。

あなたが何になろうとしていたのか、私には分からなかった。

 

私は雨が嫌いだ。

 

それでも次に降る雨を願った。  

晴れたあの道を歩けるように。

それしかできなかった。それしか分からなかった。

あなたはいつも笑っていたから。

 

サーサーと降る雨はいつも優しい。

留めていた涙が少しずつほぐれ、流れていくような、そんな感じがした。

 

私は雨が嫌いだ。

それはあなたの涙かもしれないから。

 

それでも、サーサーと降る雨は、少しだけ好きになれた気がしている。

今は空の上にあるあなたの心が、少しずつ、赦されるような、そんな気がしている。

 

嬉しいのか、悲しいのかなんて、分からなかった。

ただもう少しだけ、この雨と一緒にいるの。

 

ぴょいぴょーい!